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女神の乳房 第2話

2008/03/10 21:40 

万華鏡がオススメする、熟女たちのいやらしい指使い

 夫を送り出した後、長い髪をしばり、いつものように掃除と洗濯を済ませた。
 四LDKのマンションは夫婦二人だけなので、それほど汚れることもないのだが、毎日時間を費やして部屋のすみずみまで掃除機をかける。夫が細かい性格だというわけではなく、裕美子の性分だった。
 二十帖のリビング、パソコンなどを置いて夫が書斎としている部屋、裕美子の衣装部屋兼書斎、そして夫婦の寝室に、残りの一部屋は物置として使っている。
 床面積が120㎡はある大型のマンション。裕美子との新居として夫が購入したのだが、分譲業者が取引先だったので少し安く買えたのだ。築八年経つが、住み心地は抜群で裕美子はとても気に入っていた。ただ高級マンションなので、住人も大企業の役員や上級の公務員等が多く、人付き合いがあまり得意でない裕美子にとって、取るに足らないものではあるが、それだけが悩みだった。
 最上階の部屋は風もかなり強い。洗濯物を干し終えると、裕美子は自分のために紅茶を入れた。ソファーに深く腰掛け、物思いにふけりながらゆっくりと飲む。
 中堅の不動産会社を経営している夫は、この不況の中も着実に業績を伸ばしている。現在の何不自由のない豊かな生活も、すべて夫のおかげだと思うと、できる限り尽くしていきたい。
(夫婦の営みがないことぐらい、何でもないわ。こんなに幸せなんだもの)
 忙しく身体を動かしている間はそう思うことができるのだが、日が暮れ、月明かりに照らされる部屋に独りでいる時には、また昨夜のような想像をしてしまう。肯定と否定、毎日がその繰り返しだった。
 二十六歳で結婚して八年、子供はいないが夫婦仲は円満だ。二十三歳のころに結婚を考えていた相手がいたが、ある事情で裕美子の方から泣く泣く別れを告げた。夫にも、誰にも話したことのない、自分の心の中だけに留めてある思い出したくない深い傷だ。
 唐突な電話の音に、裕美子の思索は中断された。
「はい、小笠原でございます」
 いつものように、少し声を高くして受話器を取った……。



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テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

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