十字架上の貴婦人 第13話
張りつめていた鎖が緩み、貴和子は廉恥極まる大開脚ポーズから解放された。
続いて天井も唸り声を上げ、歯車が逆回転を開始する。吊られていた手首が楽になり、脚と同じく鎖が弛み始めた。
引きちぎられそうな痛みから逃れた貴和子を、木製の台から下ろすために男が抱きかかえた。
ボディビルダーのごとく膨れた胸筋と、咽ぶ彼女の乳房が触れ合った。さらに敏感な柔肌が、怒張した男根の質感を捉えた刹那、鋭い電流が貴和子の肉体を貫いた。
「ああ……」
床にへたり込んでしまいたいが、そこまで鎖は緩められていない。最初の体勢に戻っただけだ。緊迫していた全身の筋肉が痺れ、乳房を隠すことも繁みを覆うこともできないのだ。
「さあ、奥さん」
背後に回った男は、貴和子のヒップを撫で回す。
ついに最後のものが奪われようとしている。この異様な空間に拉致された時から覚悟はしていたが、脳天を割られるような衝撃があった。
「いやっ!」
再び指先が亀裂を這った。
「準備は良さそうだな」
貴和子の濡れぐあいを確かめた男は、満足したように呟いた。ヒップの肉を掴み、柔らかく揉むように割った。
――あなた、ごめんなさい……
もう逃げることはできないのだ。
空虚になりかけた脳裏に、愛しい夫の笑顔が浮かぶ。
平和な日常に慣れきっていた貴和子。その中のわずかな不注意を悪魔に付け込まれ、取り返しのつかない結果を招いてしまったのだ。この惨めな姿を見られているようで、彼女は思い切って夫の映像をかき消した。
「さあ、いくぜ。奥さん」
力なく立つ貴和子の背後から、無骨な手がウエストを掴んだ。鋼鉄のような棒が、柔肉に突き立った。
「ぐううっ……」
蜜壷を裂くような勢いで入ってきた怒張に、貴和子は悲鳴にも似た声を上げた。
生理的な反応だけで泉は潤っているが、肝心の彼女の心が開かれていない。夫を受け入れるときのような快感にはほど遠く、むしろ傷みを覚えるほどだ。
「おおっ、いいぜ、奥さん!」
悦びの雄叫びを上げながら、男は貴和子のヒップに平手打ちを放った。肉のひしゃげるような音が、萎えた自尊心を粉砕していく。
――あなた……
貴和子の脳裏が絶望に支配された。
結婚して十年、守り続けてきた貞操が、最も理不尽な形で奪われてしまったのだ。
――どうしてわたしが……。なぜこんな目に……、何で? 何で――
堪えていた涙が流れ落ちる。
「どうだい、奥さん。本物の男の味は?」
悪魔は繰り返し貴和子のヒップを叩くのだった……。
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コメント
初めて投稿します・・・。
中々興奮させて頂ける作品で更新を楽しみにしています・・・。
このまま男の手に堕ち、陥落してしまうのか・・・。
はたまた、犯されても男に屈しないのか・・・気になります・・・。
No:65 2009/08/04 20:33 | あわおどり #-URL[ 編集 ]
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No:86 2013/02/22 17:55 | #[ 編集 ]
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No:87 2016/07/19 18:29 | #[ 編集 ]
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