十字架上の貴婦人 第12話
邪悪な獣舌に、花びらの一枚一枚が執拗なまでしゃぶり尽くされ、悪魔の唾液と貴婦人の淫汁が生々しく溶け合った。自分の蜜が、太ももの内側を伝うのが、貴和子には分かった。
「あッ! あうッ……」
貴和子の女芯を隠している包皮に、悪魔の指先がかかる。意外なほど繊細な動きで、光沢ある紅玉を露出させた。
「ココも美しいんだ、奥さんみたいな美人は」
獣が舌なめずりするような調子で言う。
「もうやめて、お願い……。許して……下さい」
どうして自分が謝らなくてはいけないのか。そう思いながらも、貴和子には悪魔の一片の温情にすがるしかなかった。
「悲しそうな声を出すなよ、奥さん。悦ばせてやるからさあ」
男は卓上の燭台を手近に引き寄せ、貴和子の股座を炎に浮かび上がらせる。チリチリと恥毛が焦げる匂いが、彼女の嗅覚まで届いた。
「あ……、熱いっ! いや、やめてぇ……」
貴和子は首を振って悶えた。
内ももから秘所にかけてが、ヒリヒリと炙られるように痛い。淑女の切ない訴えも、悪魔の嘲笑にかき消された。
「こうするとあんたがもっと美しくなる。我慢しな、奥さん」
蝋燭の炎が、濡れた紅玉をさながら妖しい万華鏡のように彩る。盛り上がった赤いふちどりも、溢れた蜜で潤っていた。
「お、お願いっ! 熱い、熱いわ……」
思い切り身体を伸ばしてみるが、炎から逃れることはできない。じわじわと責めつけられ、貴和子の額から脂汗と一緒に恥辱の涙が頬を伝う。彼女の苦しみを表すように、小ぶりな乳房も小刻みに震えた。
「奥さん、もう抵抗しないって約束するかい?」
悪魔は燭台をかざし、貴和子の太ももに唇を這わせながら言った。
黒々した繁みが、すでに四分の一ほど焼かれている。エスカレートする男の要求にも、彼女はすぐには答えなかった。
「どうなんだい、ええ?」
「あああっ!」
肌を焦がすほどに炎が近づいた。再び恥毛が焼ける匂いが鼻を刺す。
「ううっ! します……、約束、します……。だから、お願い……」
貴和子は歯を食いしばって天を仰いだ。
理不尽な悪魔の脅迫に屈した自分が情けなく、その何倍もの恥辱が彼女に突き刺さった。
「よおし、さすがは賢夫人だ」
男は燭台をテーブルに戻すと、濡れたハンカチを貴和子の恥部に当てた。その冷たさが恵みの雨のようで、すうっと肌の熱が引いていった。
「しかし、あんたみたいないい女に懇願されるのも、たまんねえな」
爬虫類のような笑いが、貴和子の胸を抉った。
火炙りの拷問からは逃れたものの、彼女の精神はズタズタだった。
肉体的には、恥部の繁みが少し焼かれただけだが、激しい運動後のように身体はクタクタである。鼓動は昂ぶったままで、呼吸も乱れ喉も苦しい。
「じゃあ約束を果たしてもらうぜ」
悪魔の掛け声とともに、両側の壁が作動した……。
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