十字架上の貴婦人 第14話
蜜壷の中で蠢く大蛇が毒を吐き散らす。
「俺もコイツには、ちょっとした自信があるんだ」
男はかき回すように肉棒をゆっくり動かす。
確かに太く、硬い。それを男は自慢しているようだが、貴和子にとっては異物以外の何ものでもないのだ。
「アッ……う……ん……」
擦られるような痛みと未体験の異物感に、彼女は声を漏らした。
「おっ、奥さんさっそく感じてきたようだな。思ったとおり感度のいい身体じゃねえか。俺の目に狂いはなかったわけだ。ヒッ、ヒッ……」
貴和子の呻き声を嬌声だと思い込んだ男は、気分を良くしたようだった。
べとついた手のひらで彼女のわき腹をまさぐり、唾液をたっぷり含んだ舌先を白い背中に這わす。
――こんな……、汚らわしい……
少しでも蹂躙から逃れようと、貴和子は腰を動かし首を振った。
「へえぇ……、けっこう積極的なんだな、奥さんよォ。見かけによらず、なかなかの好き者ってわけかぁ」
「ち、違います……」
小さいながらも、はっきりした声で貴和子は否定した。例え手前勝手な解釈であろうとも、こんな野獣のような男の性技に反応しているとは思われたくない。
「ほう、どう違うんだい? こんなに濡れて、腰まで振ってよ。ええ? 淑女の仮面を被った娼婦じゃないのか、あんた?」
そう言いながら、男は貴和子の乳房を鷲掴みにした。
「んん……、くぅ……!」
痛みのあまり、貴和子の口から声が出た。彼女にとっては、皮膚をつねられているような感触しかない。
「ほらほら、そんなにイイのかよ、奥さん……」
「違う、違うわ」
先ほどより強い調子で否定した。そんなふうに思われているだけで、鳥肌が立つほど不快で、情けなかった。
「ふん、まあいいさ。その強情さもどこまで続くかお楽しみだ。コイツにかかっちゃ十五分と持つまいがな」
ウエストのくびれにしっかり手をかけ、男は硬直を引き抜きにかかった。挿入時と同じような痛みが、貴和子の下腹部を貫いた……。
ご愛読ありがとうございます。応援よろしくお願いします。
また、ご感想などをメールでいただけるとありがたいです。
にほんブログ村
十字架上の貴婦人 | Comment(14) | Trackback(3) | Top ▲