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金色の背徳 第19話

2009/02/20 22:09 

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「何ですって!」
 声を張り上げ、駿策の一言に我が耳を疑った。十日ぶりに彼と貪り合った、シティホテルの一室である。
「そう怒るなよ。別にお前を裏切ったわけでもないんだからさ」
 ベッドから起き上がろうとする彼女を制し、駿策は笑みを浮かべた。
 初めて抱いた日以来、何度も涼子を呼び出し、そのつど性技の限りを尽くした事、廉恥極まる愛撫で女弁護士の自尊心を粉砕し、三十八歳の女体に骨の髄まで彼の味を染み渡らせた事を、すべて玲緒奈に打ち明けたのだ。
 今では三日と空けず、盛りのついた雌猫のように誘いの電話が掛かってくる。駿策が来いと言えば、どこにでも赤いBMWで飛ぶように駆けつけるだろう。
「いったいどういうつもりで?」
 理知的な女らしく、猛る怒りを内面に抑え込んだ。それでもこめかみに浮かんだ青い静脈が時おり跳ねる。自分が蛇蝎のごとく嫌っている涼子を、何度も抱いたという駿策の心境が計り知れないようだ。
「上手い具合に弁護士先生の方から俺を誘惑してきたんだ」
 身振り手振りを交え、事の起こりから説明し始めた。
 涼子が海原家の財産に尋常ならぬ興味を抱いており、駿策を味方に付けたいと考えていたこと。玲緒奈に男がいると疑っていること等々、そして、
「弁護士先生はお前に敵愾心を抱いている。憎んでいると言ってもいい。ここで俺が彼女を懐柔しておけば、その矛先も少しは和らぐはずだ」
 バスローブの乱れを直し、玲緒奈は彼の顔を注視する。
「彼女を放っておけば興信所に依頼されたりして、俺たちの関係が暴露される恐れだってあるんだ。そうなったらすべて終わりさ。弁護士先生の気持ちを俺に向けさせておけば、その心配もなくなる」
 論理的な弁明に若義母の表情も変わりつつあった。賢い女なので、丁寧に話しさえすれば必ず理解してもらえるはずだ……。

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テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

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