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金色の背徳 第17話

2009/02/17 22:05 

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                      第三章 狼夫人


 海原建設の本社ビルは、駅から徒歩五分の好立地にあった。三年前に竣工したばかり、六階建ての新社屋だ。一階を喫茶店、二階を学習塾へ賃貸し、三階から六階までが会社の事務所で、百人を超える社員が雇われている。
「海原ビル」の一階にある喫茶店は、買い物帰りの主婦や待ち合わせのサラリーマンで賑わっていた。
――いつまで待たせる気かしら? あの馬鹿男――
 細長の煙草を咥えた玲緒奈は、苛立たしげに指先でテーブルを叩いた。会社へ顔を出した帰りに、海原縁故の一人である啓太を呼び出したのだ。
 海原の入院後、療養が長引くことを悟った彼女は、折を見て臨時株主総会を招集した。
 その席上で取締役に選任され、今では社長の妻という立場ではなく、れっきとした一人の役員として業務に口を出している。女性役員は彼女独りで、もちろん三十五歳も最年少である。
「ごめんなさい、遅れちゃって。だいぶ待ちました?」
 息を切らした童顔の男がようやく姿を現した。ワイシャツにネクタイ姿の彼は、そそくさと玲緒奈の前に腰を下ろす。
「いいえ。あたしも今さっき来たところ」
 そう言って店員を呼び、彼の好みも聞かずにコーヒーを注文した。
「さっそくだけど、僕に話っていうのは?」
 年上であり上役でもある彼女への口の利き方に立腹したが、
「他でもないわ、繭美さんのことよ」
 玲緒奈は煙草を消し、思わせぶりにコーヒーカップに手をやった。
 涼子と啓太、この二人が玲緒奈と駿策にとっての障害だ。涼子と比べて知恵と能力は格段に劣るが、無能な相手だけにある意味で慎重さも必要である……。

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テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

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