2ntブログ

金色の背徳 第19話

2009/02/20 22:09 

mard00122-18.jpg

「何ですって!」
 声を張り上げ、駿策の一言に我が耳を疑った。十日ぶりに彼と貪り合った、シティホテルの一室である。
「そう怒るなよ。別にお前を裏切ったわけでもないんだからさ」
 ベッドから起き上がろうとする彼女を制し、駿策は笑みを浮かべた。
 初めて抱いた日以来、何度も涼子を呼び出し、そのつど性技の限りを尽くした事、廉恥極まる愛撫で女弁護士の自尊心を粉砕し、三十八歳の女体に骨の髄まで彼の味を染み渡らせた事を、すべて玲緒奈に打ち明けたのだ。
 今では三日と空けず、盛りのついた雌猫のように誘いの電話が掛かってくる。駿策が来いと言えば、どこにでも赤いBMWで飛ぶように駆けつけるだろう。
「いったいどういうつもりで?」
 理知的な女らしく、猛る怒りを内面に抑え込んだ。それでもこめかみに浮かんだ青い静脈が時おり跳ねる。自分が蛇蝎のごとく嫌っている涼子を、何度も抱いたという駿策の心境が計り知れないようだ。
「上手い具合に弁護士先生の方から俺を誘惑してきたんだ」
 身振り手振りを交え、事の起こりから説明し始めた。
 涼子が海原家の財産に尋常ならぬ興味を抱いており、駿策を味方に付けたいと考えていたこと。玲緒奈に男がいると疑っていること等々、そして、
「弁護士先生はお前に敵愾心を抱いている。憎んでいると言ってもいい。ここで俺が彼女を懐柔しておけば、その矛先も少しは和らぐはずだ」
 バスローブの乱れを直し、玲緒奈は彼の顔を注視する。
「彼女を放っておけば興信所に依頼されたりして、俺たちの関係が暴露される恐れだってあるんだ。そうなったらすべて終わりさ。弁護士先生の気持ちを俺に向けさせておけば、その心配もなくなる」
 論理的な弁明に若義母の表情も変わりつつあった。賢い女なので、丁寧に話しさえすれば必ず理解してもらえるはずだ……。

mard00122-23.jpg

にほんブログ村 小説ブログへ




jusd00062-40.jpg

「……あなたの言うのも一理あるけど……。やっぱり嬉しくはないわね」
「むろんそれは承知の上だし、相談せずに突っ走ったのは悪かったと思うよ」
 涼子の爛熟ボディの濃厚さは悪くなく、まだしばらくは充分に味わえる。ただそれは玲緒奈の前では禁句だ。
「しかしおかげで絶好の作戦を思いついた」
「何、教えてよ」
 思わせぶりな彼の言葉に、玲緒奈は大きな目をさらに大きく見開いた。だいぶ機嫌を直してくれたらしい。
「上手くいけばいつでも弁護士先生を丸裸で追放できる」
「何、何? もったいぶらずに教えなさいよ」
 媚びるように駿策へ身体を摺り寄せ、声が一段甘くなった。
「もっとこっちへ来いよ」
「あたしたちだけよ。盗聴器でも仕掛けられているって言うの」
「どこで誰が聞き耳たててるか分からないからな、早く耳を貸せよ」
 玲緒奈の髪をかき上げ、練りこんだ作戦を青いイヤリングの光る耳元へたっぷりと吹き込んだ。彼女はうなずき、時には唇に薄笑いを浮かべ、彼の話に聞き入った。その瞳がしだいに熱を帯び、しまいには妖しく輝いた。
「どうだい、この考え。悪くないだろう」
 彼女に内緒で涼子と寝たことを正当化する目的もあり、駿策は自信満々で小鼻をひくつかせた。
「確かに良い考えだけど……、危険すぎない? まかり間違ったらあなたも破滅するかもしれないわ」
「大丈夫さ、涼子もそこまで馬鹿じゃないだろう」
「でも……」
「ばかに弱気じゃないか? これまでの意気込みはどうしたんだ?」
 あまり乗り気そうでない玲緒奈に、駿策は鼻を鳴らした。やはり涼子を抱いたことを根にもっているのだろうか。
「弱気じゃないわ。せっかくここまで作り上げたのよ、もう一歩で成功するって所で、あえて危険を冒して急ぐ必要があるのかしら?」
「心配するなって。今までお前に任せっきりだったぶん、挽回しないとな」
 いつまでも玲緒奈の傘の下にはいられない。男としてのプライドもある。

h_167alx00276-36.jpg

「それに俺と涼子が刺し違えても、お前は無傷でいられるわけだから、最悪でも昔の関係に戻るだけだよ」
「分かった。あなたがそこまで言うなら、気は進まないけどあなたに従うわ。後はあたしが上手くやることね」
 いろいろ文句もあるだろうが、最後は賛成してくれた。このあたりが彼女の切り替えの上手さだ。
「ああ、大丈夫。涼子は今では俺の性の奴隷みたいなもんさ」
「そう? ずいぶん念入りに可愛がったんでしょうね」
 皮肉交じりの玲緒奈の言葉が耳に痛い。さっきは自分に向けられていた愛撫が、よりによって涼子へ向けられたことが、よほど悔しいのだろうか。
「すねるなよ、お前らしくないぞ。すべて俺たちの将来のためじゃないか」
「分かってるわよ。あたしだって海原の妻だからあなたには強く言えないし……、でもすっきりとは割り切れないの」
「弁護士先生との関係だって、ずるずる続けるつもりはないさ。だからしばらくの間、目を瞑ってくれないか?」
 熟女の色白ボディが脳裏にチラチラうごめいた。
「……仕方ないわね……。いい気はしないけど、頭では理解してるのよ。でも……、ミイラ取りがミイラになる、なんてことは絶対に許さないわよ」
 甘い口調の中にも強い響きがあった。
 女弁護士を最大の敵だと考えている玲緒奈だからこそ、涼子の魅力や怖ろしさも熟知しているとも言える。冷静な彼女でも、そうたやすく嫉妬の感情まで消し去ることはできないのだろう。
「言うまでもないさ。繭美も涼子も、他のどんな女だってお前に敵うわけないよ」
 これは本心だ。
 魅力的な女には一時的に目移りしても、それは肉体目当ての男の本能である。尖らせた彼女の唇を自分の唇でふさぎ、若義母を二度目の挿入へ誘った……。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(愛欲)へ
にほんブログ村
ご精読ありがとうございます。ご満足いただけましたら、クリックをお願い致します。

ご精読ありがとうございます。応援よろしくお願いします。

日本伝統の美がここに蘇る!







テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

金色の背徳Comment(0)Trackback(0) | Top ▲

コメント

Top ▲

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | Blog Top |