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金色の背徳 第22話

2009/02/25 21:49 

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               第四章 性奴熟女

 涼子と駿策の関係が始まってから、およそ二週間が経過した。
 彼らの最大関心事である海原の病状は、一進一退で未だ入院中だ。繭美と玲緒奈が交互で見舞いに訪れているようだが、涼子もちょくちょく顔を出すようにしていた。
 肝心の海原建設の業務は、新取締役の玲緒奈が取り仕切り、それを顧問弁護士の涼子が監視するという均衡状態が続いている。二人の女の間で、目に見えない火花が散っているのは、誰の目にも明らかだった。
 三十八歳にして初めて肉の悦びを知った女体は、肌の火照りを抑えきれない。今では寸暇を惜しんだ駿策との逢瀬が続いている。
 姪の夫との情事には背徳的な悦びとスリルが味わえた。もはや涼子にとって駿策は、財産問題のパートナーと恋人を重ね合わせた大事な相手だ。
 今晩も駿策との約束がある。そのときのことを想像するだけで、まだ日も高いというのに肉体がじんわり疼いてしまう。
「先生、先生……」
 事務員が呼びかけているのに気づいた。心ここにあらずといった感じの涼子に、小首を傾げている。
「どうなさったんですか、最近。どこかお体の調子でも?」
「あ、ごめんなさい。なんでもないの。ちょっと考え事を」
 女弁護士の脳裏を支配していたのは、駿策の逞しい肉体と背徳感、そしてもう手放すことのできないあの峻烈な悦びだった。
「今からこの書類を市役所に届けに行きますけど、何かついでがあればと思いまして」
 もう五年も涼子の補助者をしている金城秋穂は、有能な部下だった。今年で三十歳になるが、まだ弁護士になる夢をあきらめていない。生真面目すぎて融通の利かないところもあるが、口は堅く、人間性には信頼のおける女だ。
「そう……ね、じゃあ例の興信所に寄って来てくれない? この人のことを少し調べてもらいたいのよ」
 バッグの中から玲緒奈の写真と、簡単な履歴を書いたものを取り出した。仕事柄、身元調査などもあるので、秋穂が不審に思うこともないだろう。
「わあ、きれいな人。やっぱり浮気の調査か何かで?」
 堅物の彼女も、こんなときは女の本性を垣間見せる。いつも冷静な瞳に好奇の色が浮かんだ。

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「ええ、とんでもない性悪女よ」
 女弁護士の口ぶりから察したのか、秋穂はそれ以上の質問はしなかった。
「それから、秋穂さん。今日はそのまま直帰してもらっていいわよ。わたしも夕方から出掛けるから。その書類を届けたっていう報告の連絡だけちょうだい、携帯にね」
 忠実な部下は主人の命令に一礼し、素早く事務所を後にした。
 一人になった涼子は煙草を咥えた。火を点けて深く吸い込み、大きく吐き出す。紫煙の中に玲緒奈の泣きっ面が浮かび、肉体の隅々までが痺れるように高揚する。
――必ず尻尾を掴んでやるわ、あの雌狐――
 玲緒奈さえいなくなれば、あの女さえいなければ……。ここ最近、考えることといえば彼女を海原家から放逐すること、そして駿策のこと、そればかりである。
 駿策と肉体関係をもち始めてからは、その憎悪が殺意にまで高まろうとしている。もちろん本当に殺すわけではない、社会的に抹殺するのだ。
――あの女さえ消えれば、海原家はわたしと駿策さん、二人のもの……――
 玲緒奈の浮気の証拠さえ見つかれば、すべて解決する。財産目当てで二十も歳の違う男と結婚する淫乱女だ、叩けばいくらでも埃が出るだろう。
 最後の一服を吸い、力強く煙草を押し潰した。
「彼にも……、相談してみよう……。そうよ、きっと賛成してくれるわ」
 声に出して呟いてみた。
 もちろん玲緒奈放逐の計画の件だけだ。あまり先走った事を話すと、欲の深い女だと思われる恐れがある。
――興信所に浮気調査を頼んだことだけを話して、彼にも協力してもらおう――
 涼子の妄想に一区切りがついたとき、赤い携帯が着信を知らせた。
――駿策さん――
 彼からの着信だけは音を変えてあるのだ……。

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大人の色気の先にあるもの・・・


テーマ : 淫らな肉体 - ジャンル : アダルト

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