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女神の乳房 第31話

2008/05/11 09:54 

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「どうしたの? 急に相談だなんて」
 スーツ姿の貴彦をリビングに案内してソファを勧めた。彼は無言で身体を沈め、ふうっと大きく息を吐いた。
「紅茶で良かったわよね?」
 キッチンに行きかけた裕美子に、
「裕美子さん、ちょっとここに座ってよ」
 貴彦は答えた。思いのほかの真剣な表情に少し驚いたが、言われるまま向かいのソファに腰をおろした。
「そんなに大事な話なの?」
 うつむきかげんの貴彦の顔を覗きこんだ。その問いに彼は無言でうなずく。
「もしかして……、もしかして美登里さんのこと……?」
 それとなく、聞いてみたかったことを口に出した。貴彦は再び無言でうなずくだけだ。
「そんな大事な話なのにわたしでいいの……?」
 裕美子はテーブルに頬づえをつき、小首をかしげた。ジーパンにトレーナーで髪を束ねた姿が、いつもより彼女を若く見せている。どこかあどけない少女の雰囲気を備えた笑みに、貴彦は戸惑っているようだ。
「煙草、吸っていい?」
 ため息が半分混じった言葉に、裕美子も無言で灰皿を差し出した。火を点けて一口だけ大きく吸い込み、横を向いて煙を吐き出すと、彼はすぐにそれを揉み消した。
「美登里さ……僕以外にも男がいるんだ……」
 憎しみという響きより、むしろ投げやりのようなだった。
 頭の片隅で多少は想像していたとはいえ、言葉にすると重く響く。美登里さんが……。「まさか」と言うべきか、「やっぱり」と答えればいいのか。
「あなたの知ってる人なの?」
 ならば昨日の姿は愛人との逢引きのためだったのだろか、裕美子は切れ長の目を細めた。貴彦は首を振り、
「ご主人が亡くなってからずっとらしいけど……。僕の知らない人だよ」
 まるで人ごとのようなセリフだった。
「あなたと婚約してるのに……?」
 さらに驚いた表情をしてみせたが内心は複雑だった。
(人妻の身で夫以外の男に抱かれる女もいるのよ、あなたの目の前にね……)
 もう一人の自分が心の中で呟く。義理とはいえ、自分の母親が浮気をしているのを知ったら貴彦はどう思うだろうか。
「ご主人が亡くなった直後はさ、淋しかっただろうし、頼れる人が欲しかったんだろうと思うからね、別にそれはいいんだけど……」
 再び煙草をくわえ、続けた。
「僕と知り合ってからも続いているのが……何ともやりきれない」
 婚約者に裏切られたというのに、貴彦には怒りはおろか、悲しみもそれほど感じられない。声を震わせるわけでもなく、拳を握り締めるわけでもない。感情が昂ぶるどころか、いつも以上に冷静だった。まるで友人の噂話をしているような軽さが裕美子には理解できなかった。
「それで美登里さんとは話したの?」
「うん……。夕べはっきりと言ったんだ、君とはやっていけないって……」
 自分と出会う前の事は詮索するつもりもないし、実際にしていない。だから別に他の男と肉体的な関係があったとしても、それはかまわない。ただ自分と交際を始め、しかも婚約した後もその関係を続けているのが許せない、彼は言う。




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女神の乳房 第30話

2008/05/07 17:26 

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(まだ何か挟まってるみたい)
 帰宅途中の車内で裕美子は思った。
 足を動かすだけでジンジンする。身体全体の火照りもまだ冷め切っていない。しかし不快感ではない。体内のエネルギーを完全燃焼した心地よい充実感があった。
 今回も絶頂の瞬間に気を失ってしまい、目覚めたときにはすでに男の姿はなく、置き手紙が残されていた。筆まめな男のようだ。
 手紙には、裕美子への謝辞と賛辞が綴られていて、男の思いを再確認することができた。追伸として男の携帯電話の番号が申し訳なさそうに記されており、裕美子の方からも連絡を取ることができるようになった。しっかりとアドレス帳に書き込み、携帯にも登録しておいた。登録名は「信者」にした。
 昼下がりの道はすいていた。まだ帰宅ラッシュには時間があり、快調に運転することができた。ホテルを出てから初めての赤信号に車を停めた。
(そういえば美登里さん、どうしたかな?)
 不意にホテルで見かけた美登里の姿が思い出された。あの濃い化粧に露出度の高い服装は、普段からは想像がつかない。
(貴彦さんと会う以外は考えられないけど……。たまには気分を変えてみたかっただけなのかも……)




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女神の乳房 第29話

2008/04/26 17:57 

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 蜜壺を満たしている男の硬直したものが、火かき棒のように裕美子の中をグリグリとかき回す。
「あ……、ふうっ! ああ……あああ……」
 かすれ声で喘ぎながら男の耳にしゃぶりついた。何かにつかまっていないと、何かをくわえていないと、我を忘れてしまいそうで怖かったのだ。
 ゆっくりとした動きで男が身体を預けてくる。裕美子もその重みを受け止め、しなやかにベッドに倒れ込んだ。柔らかいクッションが二人の身体を包み、弾む。
「裕美子さん……」
 男はベッドに手をついて抜き差しを開始する。抜くときはそっと、そして差し込むときはバシンと体がぶつかる音がするくらいに素早く、力強く。
「あっ、あっ、ああっ! あっ……、ああ……、おおおぅ! おおっ!」
 激しくリズミカルな律動に、裕美子も男の首に手を廻し、獣の咆哮のような喘ぎで応えた。
 溢れ出る蜜にまみれた二人のそこが、グチュグチュと淫靡な音を立てる。裕美子は大きくのけぞり、蜜壺に力を入れて男のものを締めつけた。そうすると抜き差しのときの摩擦が増し、快感がさらに強くなるのだ。
「ああ……、裕美子さんのココ、凄く締まってる……」
 煮えたぎるような感触に男は声を洩らした。濡れた柔肉がギュッと吸い付いてくるのだ。
「う……、本当に、いいよ……」
 うめきながら男は乳房に顔を埋めた。逞しい腰の動きはそのままだ。裕美子も大きく開いた足をベッドに突っ張り、男の頭を自分の乳房に押しつけるように抱えこんだ。
「ああああ! すごいっ、あなたのが凄いわっ!」
 首を振って悶えた。疲れを知らない男の動きに、裕美子は身体がバラバラになりそうだった。
「ああうぅ! いいっ、いいっ! 凄いのが来るぅ!」
 突っ張った足を支点にブリッジのように腰を浮かせ、女体を弓なりにさせた。彼女の頭の中では何連発もの花火が打ち上げられ、薄れていく意識を鮮やかに彩った。
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「ううぅ、あああっ! だめ、だめっ! はあ……んっ!」
 艶やかな黒髪が乱れ、裕美子は泣くような声で二度目の絶頂へと昇りつめていく。
「裕美子さん、裕美子さん、好きだ……」
 ゆっくりとした、それでいて大きな動きが、小刻みで速い動きに変わる。男も高まっているのであろう、裕美子に締めつけられている硬直がピクンピクンと脈を打っている。その脈ひとつが高ぶる肉体に電流を走らせるのだ。
「あっ、あっ、好きよっ! 好きよっ! ああっ、もう……、いくわぁ……」
 全身を波打たせ、男の腰に太ももを絡みつけた。
 裕美子は生まれて初めて「いく」という言葉を発した。夫の前でも、以前の恋人渉との時でも出ることのなかった言葉だ。
 わずかばかり残った羞恥が裕美子を責め、それを体内に押し込むように男の身体を抱きしめた。絡めた足の指先までもが、激しく折れ曲がっている。
「裕美子さんっ! ああっ、裕美子さん! 愛してる!」
「好きっ、好きぃ! 愛してるわっ、愛してるわっ!」
 絶叫しながら男を強烈に締めつけた。
「ああああ……、おおっ、おおおぉ!」
 狂おしいほどの叫びとともに裕美子は身体を痙攣させた。男もウッという声とともに、女神への供物としての精を一気に注ぎ込んだ。
 その供物をしっかりと受け止めた瞬間、裕美子の脳裏に虹がかかり、そして闇が訪れた。深く、終わりのない闇だった。


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女神の乳房 第28話

2008/04/24 17:33 

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「うっ、あああ……ん……。あっ、あっ、ああああ……」
 激しく首を振りながらのけぞり、十日ぶりに訪れる快感に我を忘れた。シーツをつかんだ両の拳には青い血管が浮かび上がっていた。
「あっ、あっ、く……、狂っちゃうぅ!」
「あなたのここを誰にも渡したくない……」
 くぐもった男の声。指と舌を入り混じらせて交互に責める。
「こ、こんなの……。あっ、だめよっ、だめよっ! うっ、うっ、ううっ!」
 ひときわ大きな声を上げ、身体を弓のようにしたかと思うと、裕美子はぐったりとなった。
 呼吸が乱れ、激しく胸を上下させている。昇りつめたようだが、それでも男が舌を触れさせると、身体は大きく反応した。
 裕美子の股間から顔を上げて大きく息をつくと、男はベッドに横になった。添い寝の形で黒髪を撫でる。放心したような裕美子は、足を開いたまま余韻に浸っていた。
 眠っていた官能を支配する神経が、前回の男の愛撫で目覚めたのか、自分自身でも考えられないほどの昂ぶりだ。例は悪いかもしれないが、新車時に試乗程度しか走ってなく、そのまま中古車市場に並んだ新古車。それが裕美子の肉体ではないだろうか。三十四歳になった今、ようやく慣らし運転を終え、これからその性能を最大限に発揮するのだ。年齢的にも、女として最も脂ののっている時期でもある。
「凄い……。何だか自分の身体じゃないみたい」
 ようやく裕美子は目を開けた。その黒い瞳からは、驚きと悦びの感情が読み取れた。




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女神の乳房 第27話

2008/04/23 14:14 


 ホテルの駐車場ではなく、歩いて五分ほどの有料駐車場に車を置いた。駅を利用するときにも使う所だ。もし誰かに車を見られても不審を抱かれないようにとの配慮からだった。
 車から出てコートをはおる。かえって目立つかもしれないと思ったが、サングラスをかけた。化粧も濃く、服装も派手なので、ふだんの裕美子とは違った装いだ。知り合いに見られても気づかれないかもしれない。
 コツコツとヒールを鳴らし、軽やかな足取りでホテルへ向かう。今日はこの冬一番の冷えこみらしいが、頬を撫でる氷のように冷たい風も、すでに火照り始めている裕美子の肌にはむしろ心地よかった。
 先日と同じく、ロビーは待ち合わせの人々で賑やかだった。
(この中にもわたしと同じ様な目的の人たちもいるのよね)
 身なりを整えた自分と同年輩の何人かの女性を見て思った。自分だけが変わったこと、反道徳的なことしているのではないと言い聞かせたのだ。
 ロビーを素通りし、エレベーターに乗り込んだ。九階のボタンを押した時、閉まろうとするドアの隙間から顔見知りの女性の姿が視界に飛び込んできた。
アッ、と思わず声が出てしまう。それほど意外な人物だったのだ。
 着飾ったその表情からは、裕美子の知っている姿とは別人のような妖艶さをにじみ出させていた。
(美登里さん……)
 横顔をわずかに見ただけなのだが間違いない。何と言っても義理の息子の婚約者だ。いくら裕美子が浮き足立った気持ちでいるとしても、さすがに見間違えることはない。
(何でこんな所に……。貴彦さんとデートなのかしら……)
 見てはいけないものを見てしまったような思いだった。貴彦から紹介されて、その後も何度か会っているが、人ごみの中を闊歩する今日の美登里は、服装だけでなく雰囲気までもどこか違っている感じだった。
(でも美登里さんに間違いないわ……)
 裕美子の疑念をよそに、エレベーターは九階への到着のチャイムを鳴らした。開いたドアの向こうには、静まりかえった廊下が伸びている。
(何だか別人みたい……。まあいいわ……、今のことはしばらく忘れないと)
 903号室の前に立ち、軽くノックをしながら考えた。
 厚いカーテンに包まれた部屋。ソファやベッドの位置、そして薄い照明、すべてがこの前と同じだった。

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