金色の背徳 第32話
玲緒奈の勧めに従って早めに帰宅すると、繭美は久しぶりの手料理で出迎えてくれた。
駿策が食事を終えるのを待っていたように、彼女は涼子の件を切り出した。突然のことに、かなり驚いているようだ。
ピンクのエプロン姿が新妻の色気を滲ませているが、その表情は青ざめている。彼女にとっては数少ない血縁者だ、心配するのも無理からぬことである。
「あまり心配するなよ。玲緒奈さんも良かれと思ってやったことだ。それにいざとなれば俺もいるし、彼女の勝手にはさせないから」
力強く、言い含めるように言った。
駿策にとっても、涼子との絶縁は別の意味で痛かった。
あの熟れきった肉体を二度と抱けないとなると、もう少しゆっくり事を運んでも良かったのでないかと思ってしまう。一ヶ月ほどの短い付き合いではあったが、年齢の割りに一途な彼女に情が移った部分もあるのかもしれない。丸裸で放り出されたことに対しては、同情する気持ちもあった。
「……玲緒奈さんとは血の繋がりもないし、わたしが頼れるのはあなただけだから……」
繭美が漏らした。
義母を信用してはいても、どこかに一抹の不安がある。それを取り除き、温かく包むのが彼の役目だ。
「これからも何かあったら必ず俺に相談してくれ。決して隠し事なんかせずに」
重みのある夫の言葉に、新妻はしっかりとうなずいた。
夕食を終えて入浴を済ませると、シャワーを浴びる繭美を待つ間、軽くウイスキーを飲んだ。しばらくぶりのアルコールが、乾いた内臓に深く染み渡る。
――もう少しで海原家の財産が掴める――
あとは従兄の啓太を放逐し、海原の死を待つだけだ。
繭美は自己主張のない人形のようなもので、それでいて妻として飾っておくには申し分ない美貌を備えている。
一人で生きていく術も知らなければ、義母と夫の関係を疑る世知も持ち合わせていない。海原が死んだとして、どのみち駿策と玲緒奈の結婚は不可能だ。繭美に妻の座を与え続けても、何の不都合もないのである。
今夜は繭美を抱くつもり、いや抱かなければならない。彼が夫であり、彼女が妻である証として……。
「ああ、気持ちよかった。こんなにゆっくりお風呂に入ったの久しぶりだわ」
湯上りの艶やかな肌を光らせ、繭美はキングサイズのベッドに腰を下ろした。バスタオルを巻いただけの姿から芳ばしい石鹸の香りが立ち上る。
「親父さんも小康状態だし、お前も少しは休んだ方がいいよ」
枕元にグラスを置き、駿策はベッドに転がった。
看病疲れでやつれた時期もあったが、今はそれもなくなり、はち切れんばかりの若さが溢れている。爛熟の肉体ばかりを相手にしていた彼にとって、あどけなさを残した繭美の肢体に、我が妻ながら新鮮さを覚えた。
「ありがとう。これからそうさせてもらうわ」
髪を拭う姿からか弱げな白いうなじが垣間見え、駿策の劣情を揺さぶった。
「繭美」
背後から彼女を横倒しにする。細身の身体がベッドに弾み、その拍子でハラリとバスタオルが脱げ落ちた。
「あッ……!」
可憐な唇から小鳥のような声を漏らし、繭美は両腕で胸を隠した。華奢な首筋が廉恥に赤く染まる。
「……駿策さん、明かりを、消して……」
恥ずかしげに顔をそむけ、新妻は小さく呟いた。このあたりのしぐさは今も初々しく、彼の征服欲を駆り立てるのだ。
ベッドサイドの照明をオフにすると同時に、室内は夜の帳に包まれた。差し込む月明かりに浮かぶ若妻の肢体は、まるで妖精のように幻想的に見えた。
乳房を覆う彼女の両手をゆっくり外すと、控えめな膨らみが顔を出す。
なだらかな丘陵の頂には、薄桃色に煌めく粒が静かに息づいていた。白く澄んだ肌に、清らかなピンクが映える。
チュッという軽いキスの後、駿策は首筋から鎖骨へと舌を這わせた。若さの漲る艶々した柔肌が、燃えた唇に吸い付くようだ。
「……はあっ、あ、あん……」
乳房の下に手をあてがい、すくうように持ち上げ先端のさくらんぼを唇で挟んだ。甘く立てた歯へ、コリッとした感触が心地よい。
「い、いやあ……」
いつものか細い喘ぎが漏らし、ゆっくり首を揺らしながら繭美は指を噛んだ。
若妻の肉体はすでに嬌声を抑えられないほど昂ぶり、乳首の愛撫だけで昇天しそうなほど感度は良い。
「あッ、はあッ……んん……」
小ぶりながらも果肉の密度が濃く、テニスボールのごとき弾力だ。同じしなやかさでも三十路熟女とは一味違い、まだ青い硬さを残している。
瑞々しい絹肌を駿策の舌先が滑っていく。蝋のように弱々しい白さが、可憐な彼女のイメージにピッタリだ……。
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