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女神の乳房 第19話

2008/04/07 08:43 



「それはノーという意味ですね」
 男の小さなため息が裕美子の耳に届いた。闇の中で大きな身体が縮んだように見えた。
「いえ……、少し、ほんの少し時間が欲しいだけなんです……」
 できるだけ男を興奮させないように、慎重に言葉を選ぶ。男と二人でホテルの一室にいるという事実を、裕美子は思い出した。もし力ずくでと考えれば、非力な彼女は太刀打ちできない。今までの話し振りからしても、男が暴力で裕美子を自由にしようとすることは考えにくいが、用心するに越したことはない。
「そうですか……」
 深々とため息をついた男は、ガックリと肩を落とした。まるでこの世の終わりを迎えたかのようだ。いや、この男にとっては本当に世界が崩れ落ちていくように感じられたのかもしれない。
「わたしには今だけなんです。明日はないんです……」
 どこか身体が悪いのか、いつ命が尽きてもおかしくないような言い方だ。
「それはどういう意味ですか? まさかお身体が……」
「いえ、そんな意味ではありません。あくまでわたしの気持ちの中でのことなんです……。残念……です……」
 男は裕美子に手を振りながら言う。
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「時間はもらえないのですね」
「勝手なことを言うようですが、わたしには今しかないんです」
 裕美子は男に憐れみさえ感じた。これほど一心に、自分を思ってくれる男がいるだろうか、たとえそれが肉体的な欲望だけのものとはいえ……。それだけこの男は自分の身体を求めているのだ。「女冥利に尽きる」という言葉があれば、自分にピッタリだわ、そんな冗談が浮かぶほど嬉しかったのだ。
(わたしのことを女神のように思っているのだ、ならばそれに応えるのが女としての義務ではないか……?)
 裕美子は心を決めて立ち上がり、
「シャワーを使わせて下さい」
 はっきりと聞こえるように男に伝えた。言い終えたときに、すべての迷いが消えた。そしてこの時だけは道徳や常識も葬り去った。
 今度は男が驚く番だった。手の中から逃げ出そうとした美しい小鳥が、また自分のもとに戻ってきたのだ。
「わたしの身体であなたの気持ちが満たされるのなら……」
 言いながら恥ずかしくなった裕美子は逃げるようにユニットバスに駆け込んだ。手早く服を脱いでシャワーカーテンを引く。
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 白い肌に熱いシャワーをあてると、それ以上に熱いものが身体の奥からこみ上げて来る。噴火する直前の火山のようなものだった。
(こんな気持ちになるなんて思ってもみなかった。ましてシャワーを浴びようとは……)
 一人で顔を赤らめた。
 石鹸をたっぷりつけ、丁寧に身体を洗い流す。乳首がすでに堅くなっていて、裕美子は自分の興奮状態を自覚させられた。シャワーを止め、しっかりと化粧を直す。
 バスタオルを巻いて浴室を出た。薄暗い部屋でベッドに腰掛けていた男は、裕美子の姿を確認すると、立ち上がった。明るい浴室から出たばかりで、まだ暗闇に目が慣れていないが、男は全裸のようだった。しかしサングラスはつけたままだ。
「裕美子さん……」
 そう呟くと、男はいきなり裕美子を抱き寄せた。筋肉質の身体に力強く包み込まれ、思わず驚きの声を上げてしまった。彼女も男の腰に手を廻す。押しつけられた唇を、目を閉じて受けた。




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