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女神の乳房 第6話

2008/03/15 17:40 

男根とバイブに悶える熟女たち

「まったく勝手なんだから」
 怒りを吐き捨てながら裕美子は歩いていた。週に一度のデートの帰りに、恋人の笹野渉と口論の末、車を飛び出してきたのだ。
 二十三歳の裕美子は、六つ年上の渉と付き合い始めて一年になる。二人はすでに結婚の約束をしており、近々渉の両親に正式に挨拶に行くことになっていた。本来ならば幸せ一杯の時期のはずなのだが、裕美子にはどこか憂鬱で、煮え切らないものがあった。
 結婚の約束をしてからというもの、自分に対する渉の態度が少しずつ変わっていくのを感じていたからだ。今日の口論だって原因はほんの些細なことなのだが、たまっていた最近の鬱憤が爆発してしまったのだ。
「お前は俺のものなんだぞ。俺はお前の主人になるんだぞ」
 このごろの渉の言葉や態度には、そんな見下すような思いが感じられた。渉のことはもちろん好きだし、彼のものになるのに異存はない。ただ、少し前と現在の態度の変化があまりに露骨で、それが我慢できなかったのだ。
 すぐに渉が追いかけてきて、謝ってくれたら許すつもりだった。好きな相手なのだし、心の底から怒っているわけではない。だが、それらしい様子は全くなく、足音も聞こえなかった。
(あんな人なんか知らないっ)
 公園を歩きながら、自分を連れ戻しに来ない渉に対しての不信感がわいてきた。
(こんな夜更けにわたし一人にさせても心配じゃないのかしら。わたしのことなんてどうなってもいいと思ってるの?)
 自宅のアパートまでは歩いて十分ぐらいの距離だが、すでに午後11時を回っており人影はない。会社への行き帰りに毎日通る道なので、怖いとは思わなかったが、渉への不信が本物の怒りに変わろうとしていた。
 街灯が煌煌と公園内を照らしているし、付近は住宅街だ。万が一何かあっても大声を出せば誰かが助けに来てくれるだろう、裕美子はそう考えていた。このあたりは治安も良い地域で、これまでにも女性が襲われたなどとは聞いた事がなかった……。



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(後から謝っても許さないから。もうあの人とはお終い)
 二つ並んだベンチの前を通り過ぎると、公衆トイレが視界に入った。その先が公園の出口になっており、すぐ近くに居酒屋、ラーメン屋など比較的遅くまで営業している店舗が並んでいた。
(何か食べていこうかしら)
 そう思った刹那、背後の繁みで音がした。反射的に足を止め、振り向こうとした裕美子は、強い力で羽交い締めにされた。身体の自由を奪われ、繁みへ引きずり込まれようとしていた。
(何? 何よ?)
 突然の出来事に頭の中が真っ白になった。叫ぼうにも声が出ない。喉がカラカラに渇いていた。酒臭い息が自分の頬を撫でた時に、ようやく強姦されそうになっているのが解った。時間にすればほんの十秒程度だろうが、ひどく長く感じられた。
 芝生に押し倒され、タオルのようなものを口に押し込まれた。ベンチの陰になり、照明が届かない位置だ。
(やめてっ、やめてっ! 誰か助けてっ!)
 懸命の叫びも呻き声にしかならない。素早い動きで、暴漢は用意していたガムテープを使って裕美子の両手の自由を奪った。
 男のヌメヌメとした唇が首筋を這う。裕美子の全身に言いようの無い悪寒が走った。まるでその部分から自分の身体が腐っていくような思いだ。
(わたしが何をしたって言うのよっ! 助けてっ、渉! 渉! お願いっ!)
 さっきまでの怒りを忘れて、裕美子は心の中で恋人の名前を呼んだ。
 薄手の上着を引き裂かれ、乳房が露出した。男は呼吸を乱し、震える乳房にむしゃぶりつく。ナメクジが這うような不快な音とともに乳首を吸われ、鳥肌がたった。自由にならない両手で拳を作り、裕美子は男の背中を思い切り叩いた。さらに足をばたつかせ必死に抵抗する。
(やめてっ! やめてっ!)
 男が乳房から顔を上げた。暗くて表情は読み取れないが、それほど若い男ではないようだった。頬を平手で数回叩かれ、焼けつくような痛みが走った。唇が切れ、血の味がした。
「おとなしくしろ」
 初めて男が言葉を発した。また顔に酒臭い息がかかる。男の低い声が、有無を言わさぬ迫力をもって裕美子の抵抗力を奪った。

小林興業

(殺される!)
 命の危険を感じると同時に、金縛りに遭ったように身体が動かなくなった。裕美子が抵抗を止めると、男は満足したように再び乳房に顔を埋めた。
(渉! 何で助けに来てくれないの!)
 恐怖を全身で感じながらも、裕美子は激しい怒りを目の前の暴漢よりも、むしろ恋人の渉に向けた。
 暴漢はミニスカートをたくし上げ、裕美子の最後のものを蹂躙しようとしていた。太ももにしゃぶりついて、その豊かな感触を楽しんでいる。
(何で、何でわたしがこんな目に遭わなくちゃいけないの!)
 両足を大きく開いた屈辱的な姿勢をとらされると、彼女の中で恐怖と羞恥が交錯し、熱い涙が頬をつたうのを感じた。男の手がもどかしそうな動きで下着を剥ぎにかかる。
 パニック状態になりながらも、裕美子は少しでも時間をかせごうと考えた。不自由な手を動かしてみる。わずかに身体の位置が変わると、指先が石のような物に触れた。大きさを確かめてみると、やっと両手で掴めるくらいで、かなり大きな石だ。彼女の股間に熱中している男は、腕の動きまでは監視できていなかった。
 テープを巻かれた両手で石を強く握り、裕美子は大きく深呼吸をした。何度かの呼吸の後、自分の股間に顔を埋めている男の頭をめがけ、思いっきり石を打ち下ろした。スイカ割りをした時のような感触とともに、激しい痛みを太ももに感じた。夢中で二度、三度と続けざまに打ち下ろした。全く予期していなかった反撃に、男は声を上げることもできずに動かなくなった。
 全身で激しい呼吸をした。強姦されそうになったショックと、激しい太ももの痛みで身体を動かすことができなかった。
(死んだの……かしら)
 次第にはっきりしてきた頭に、ぼんやりとした不安が浮かんできた。後ずさりするように男の身体から離れた。しゃくり上げながらテープを噛み切り、両手の自由を回復した。
「痛っ!」
 立ち上がろうとして太ももの痛みを思い出した。頭を殴られた反動で男が噛みついたらしく、血が流れ出している。とりあえずハンカチを傷口に巻き、スカートと上着の乱れを直した。
 うつ伏せで頭から血を流している男、そばには赤黒いしみのついた石が転がっている。
「わたしが……、殺しちゃったの?」
 事の重大さをはっきり認識した。
(どうしよう、殺すつもりなんかなかったのに)
 不安と恐怖が脳裏を埋め尽くす。うつぶせになった男の身体を見おろしたまま、裕美子は呆然としていた。
(わたし……殺人犯になるのかしら? 殺人犯……。でも、でもこの男はわたしをレイプしようとしたのよ。わたしは自分を、自分の身体を守ろうとしただけよ……)
 自問自答を繰り返し、自分を正当化しようと努めた。
(そうよ、この男が悪いのよ。わたしは正当防衛よ。この男が悪いんだわ)
裕美子は走り出した。痛む足を引きずりながらも懸命に走った。
(もう少しでアパートだわ。部屋に着いたら何事もなかったように眠ってしまおう。そうよ、わたしは悪くないのよ、わたしは悪くない……)

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 カーテン越しの柔らかな朝の光が寝室を照らす。その明かりで裕美子は目を覚ました。さわやかな陽光とは対照的に気分は最悪だった。二日酔いだろうか、頭がクラクラする。
(今度はあの時の夢……。思い出したくもないあの時の……)
 昨晩はひとしきりの慟哭の後で浴びるほど酒を飲んだのだ。恐ろしい手紙のことを少しでも忘れ、あの記憶が少しでも薄らぐように。泥酔し、前後不覚のまま眠ってしまったのだ。いや、眠ったというよりも、あまりのショックと深酒で失神してしまったのかもしれない。
 熱いシャワーを全身に浴びた。痛いほどの勢いが肌を刺激し、頭もはっきりしてきた。
ふっくらとした乳房に自分で触れてみる。なだらかに盛り上がり、白い肌には青い静脈が浮き出ている。頂上には控えめな様子で、小さな乳首が桜色に彩られていた。わき腹から腰へかけての曲線は緩やかで、細い上半身に比べると、いくぶん豊かさをもったヒップが支えていた。そこから伸びているしなやかな二本の太ももは、ふくらはぎにかけてぴっちりと引き締まっている。そして付根の黒々とした深い繁み……。
(この身体……。この身体を求められているんだわ……)
 吹っ切るように裕美子は頭からシャワーを浴びた。



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テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

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