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金色の背徳 第10話

2009/02/10 21:57 

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「百歩譲ってですよ、玲緒奈さんに男がいたとして、不貞の証拠を掴んだとしますよ。でも義父が彼女に三行半を突きつけるか、廃除すればそれまでじゃないですか。繭美が全財産を一人で相続するだけで、僕らの出る幕はないでしょう」
 女弁護士の必死な様を弄ぶことで、ゾクゾクするような悦びが湧いてくる。
「わたしには関係あるわ! 海原建設は姉と義兄、二人で作り上げたものよ。わたしはその妹なの。少しぐらい分けてもらって当然よ!」
 怒ったように煙草を揉み消す涼子を見て、彼は笑いを堪えるのに大変だった。要するに自分も財産の分け前が欲しい、そういうことなのだ。
「ごめんなさい……。大きな声を出しちゃって」
 駿策の白けた表情に気づいたようだ。
「いいえ。ただ僕は今の仕事で充分にやっていけます。義父の財産を当てにするほど落ちぶれちゃいませんよ。繭美一人ぐらい立派に養えますから」
 涼子はまだ心の奥を見せていない。もっと焦らして、弁護士の仮面を外させ、本心を聞き出さなければならない。
「……そう、財産に興味がないのね。あなたの気持ちは分かった……。だからここからは相談じゃなくて、わたしのお願いよ」
「何です?」
「義兄と繭美へ、わたしにも財産を残してくれるよう口添えして欲しいの」
 精一杯の媚態で体温が感じられるほど身体を寄せてきた。

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「買い被りです。僕にそんな力はありませんよ」
 柔らかなヒップの感触を楽しみながら、彼は涼子の裸体に思いを馳せた。
 マシュマロのような色白ボディ、はち切れそうな胸の膨らみ、すべてが玲緒奈と対照的で繭美とも異なっている。一度は味わってみたいと思わせる女体だ。
「いいえ。繭美はあなたを信頼しきっているわ。きっとあなたの言うことなら何でも聞くと思うの……」
 海原建設がここまで成長できたのは、先妻の姉の援助が多大であること、自分は弁護士としてこれからも大きな貢献ができること等、瞳を潤ませ切々と訴えた。そして、
「とにかくわたしとあなたが協力しないと、海原家はあの女にメチャメチャにされちゃうのよ!」
 玲緒奈だけにはびた一文渡したくない、そんな涼子の感情が如実に理解できた。
「分かりました、分かりましたから少し落ち着いて下さい。僕もあなたに協力するのは構いませんが、さっきも言ったように、僕は財産に興味はありません。つまりお金は要りません、ということです。ですから僕が力を貸す見返りとして、あなたは何を僕に?」
 飛んで火に入る夏の虫とは彼女のことである。賢い女ではあるが、欲に目がくらんで何も見えなくなっているのだ。
「今まで以上に仕事の協力をするわ、それは約束できる」
「それだけですか? おかげ様で僕も仕事には困っていません。地道にやってきて、それなりに信用もつきましたから」
「お金じゃなく、仕事でもなく……、他にわたしに何が?」
 女弁護士は不安そうに彼を見上げた。
「あなた自身です。あなたの身体を提供して下さい」
「わ、わたしを……?」
 驚きの表情にわずかに浮いた、悦びの色を彼は見逃さなかった。彼女も百戦錬磨の女弁護士である。この駿策の要求も、どこかで予想していたはずだ……。


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