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金色の背徳 第9話

2009/02/09 21:44 

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「どうしたんですか涼子先生。お電話下さればお迎えに上がったのに」
 突然の来訪に驚きながらも、駿策は如才ない笑顔で彼女を迎え入れた。午後六時を過ぎ、そろそろ事務所を閉めようとしていたところだ。
 ワンルームマンションを改装しただけの狭い事務所だが、彼一人なら充分であった。飛び込みで訪れる依頼人は皆無に近く、ほとんどが紹介やホームページからの相談だ。手堅い仕事ぶりで着実に信用を積み重ね、これまでも義父からの援助は受けたことがない。それが彼の自慢だった。
「ちょっと近くまで来たものだから」
 ブラウン系のスーツ姿で、相変わらずスカート丈は短い。化粧もやや濃い目だ。肉感的なボディが発する熟女の香りは、玲緒奈とは一味違った魅力がある。茶系統の服装が、彼女の肌の白さをいっそう引き立たせている。
――何しに来たのか――
 これまでも数回行き来したことはあるが、すべて仕事がらみである。今日のように連絡もなく、しかもこんな時間にというのも初めてだ。
 彼と玲緒奈にとって、涼子は一番の危険人物だ、警戒せざるを得ない。ソファに座らせてお茶を出し、たわいもない世間話を十分ほど続けた後、
「ねえ、駿策さん。あなたに相談があるの」
 媚を含んだ口調で涼子が言った。
――そら来た――
 彼女のような利に聡い女が、何の企みももたずに小汚い事務所を訪れるはずはない。何か魂胆があってに違いないのだ。
「僕に? 仕事のことですか?」
「ううん、違うわ。海原家のことよ」
 ハンドバッグからシガレットケースを取り出す彼女に、彼はライターを差し出した。
妻の繭美がこの事務所を訪れたのは、開業の初日だけである。それ以降は、男の仕事場だからと彼が出入りを禁じていた。だからここでは堂々と煙草が吸える。

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「義兄があんなことになって……、だから……、もしもの時に備えて、今後についての相談よ……」
 やはり海原家の財産については言いにくいのか、珍しく歯切れが悪く、いつもの高飛車な態度も影をひそめている。
「財産って、義父はまだ生きていますよ。それに僕らは相続に何の権利もないじゃないですか?」
 法律家の涼子には釈迦に説法であるが、彼は「僕ら」という言葉を強調した。
――あんたは部外者なんだよ――
 暗にそう挑発したのだ。
「確かに直接は関係ないけど、わたしは海原の先妻の妹だし、あなたは繭美の夫じゃないの。まったく無関係とは言えないわ」
「まあ、そうですけど」
 駿策が煙草を銜えると、今度は涼子がライターを持って近づき、
「だからよ。繭美は今でもお嬢様だから、あなたにしっかりしてもらわないと……」
 彼には次の言葉が読めていた。
「あの女……、玲緒奈にみんな取られちゃうわ。かわいい顔して抜け目のない女だから、あなたも目を光らせないと」
 怒りで身体が火照ったのか、涼子はスーツの上着を脱いだ。白いブラウス姿は意外に清楚な感じがする。
「玲緒奈さんと繭美が正当な相続人ですから、やむを得ないでしょう、それは」
 彼は無関心を装い、涼子の態度に注目した。
「あの雌狐は最初から財産目当てなのよ。そうでなければ、親子ほど歳の離れた男と結婚するはずないじゃない!」
「そうですかねぇ」
「きっと他に男がいるに決まってるわ! そいつと財産を独り占めする気なのよ」
 ただでさえきつい彼女の顔が、夜叉のように見えた。まさか目の前の男がその愛人だとは、いくら彼女でも想像つくまい。
「何か証拠でも?」
「それは、まだよ。でもきっと尻尾をつかんでやるわ」
 単なる憎悪ではなく、もっと根深い女の執念が滲み出ていた……。

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